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●チョ・ヨンウクを中心に、映画『秋へ』と同じ布陣(ホン・デソン、ホン・ユジン)による、新古典派室内楽系のスコアとジャズ・バンド風のコンビネーションで展開されるOST。歌ものトラックはなしなので、ジャケには歌詞カード部分も元々ナシだがその分、チョン・ジフン(ピ)とイム・スジョンのスティールが24pほど付いていたりする。

●音楽面でもパク・チャヌク監督がsupervisor的にクレジットされており、その題材にも関わらず(というかだからこそなのか)、20世紀をすでにノスタルジックなものとして再現しているというべきか、60年代(20世紀)以前な音楽意匠のバリエーションだけで構成されている。すなわち、室内楽と小物パーカッションの活用、fl、cl、hrn、tp、tb等の管楽器の若干通常音域を外れたパッセージなどにおいて、中期以降のストラビンスキー的に、さらにその(前半の)同時代音楽としてのラグタイム風などで展開される一群のトラック(ス)。加えて若干の例外として特にvibraphoneの使用がキーとなって50年代MJQ(?)風などまでを取り込んだ、時間的パノラマ=ジオラマ風の組曲仕立ての構成となっている。印象論としては『兵士の物語』風ということも可能だが、『秋へ』が200年単位の既存曲をも取り込んでひとつのストーリーを形成していたのに対し、50年スパンでの(“どこかで聴いたことがあるような”)書き下ろしの新曲を盛りつけていく構成力(筆力あるいは画力!)は、漫画の世界に例えると荒木飛呂彦なみのスタンド・パワーを感じさせるところともなっている。もちろんこれは、大亜門のようなパロディーとしてのそれではなく、例えばオスカル・ネドバル風なフレーズの埋め込みなど、あくまで全体もディティールもマニアックかつ上品に仕上がっていることで、映画主演2名のイメージ(およびジャケ装丁)と極めてマッチしているとも評価できるであろう。本作は、主題歌を設定して残りは切り貼り的な構成も目立っていた最近の一部のOSTとは違い、いわば90年代以前の“映画音楽”に近い密度をもった音盤とも評価可能であり、ときおりE.モリコーネ風な表情をみせる(註:チョ・ヨンウクの音楽遍歴については精査していない)のも、比重的に成分表が近いのからなのかもしれない。決して各曲が傑作揃い、というわけではないのだが、編成(オケ、管楽、ジャズ系)ごとにトラックを並べ替えれば、それぞれ“純音楽”(←すごい単語だが)として鑑賞するに足りるといえるかもしれない“OST”だ。

[※概ね2006年当時の情報を元に記述]。

《曲目紹介》

01.　 サイボーグの誕生 　

02.　 サイボーグ・ラックタイム 　

03.　 新世界精神病院 　

04.　 横たわっているヨングン 　

05.　 cakewalk 　

06.　 コプタニ 　

07.　 サイボーグ・ラックタイム 2 　

08.　 瞑想の世界 　

09.　 ピンポン・ブルース 　

10.　 スンデ・ソング 　

11.　 幻想の世界 　

12.　 backstep's swing 　

13.　 キャットウーマン 　

14.　 イルスン groove 　

15.　 故障した記憶 　

16.　 充電完了 　

17.　 点になれ 　

18.　 ヨングン・ワルツ 　

19.　 お婆さんの姿 　

20.　 サイボーグ・ヨングン 　

21.　 お婆さん 　

22.　 ライス・メガトロン 　

23.　 イルスンとヨングン 　

24.　 ハッピー・エンディング 　

25.　 踊るサイボーグ 　

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《曲目紹介》(ハングル[読み])

01.　 サイボーグエ・タンセン 　

02.　 サイボーグ・ラックタイム 　

03.　 シンセゲ・チョンシンビョンウォン 　

04.　 ヌウォインヌン・ヨングン 　

05.　 cakewalk 　

06.　 コプタニ 　

07.　 サイボーグ・ラックタイム 2 　

08.　 ミョンサンエ・セゲ 　

09.　 ピンポン・ブルース 　

10.　 スンデ・ソング 　

11.　 ファンサンエ・セゲ 　

12.　 backstep's swing 　

13.　 キャットウーマン 　

14.　 イルスン groove 　

15.　 コジャンナン・キオク 　

16.　 チュンジョン・ワルリョ 　

17.　 チョミ・デリラ 　

18.　 ヨングン・ワルツ 　

19.　 ハルモニエ・モスプ 　

20.　 サイボーグ・ヨングン 　

21.　 ハルモニ 　

22.　 ライス・メガトロン 　

23.　 イルスングァ・ヨングン 　

24.　 ハッピー・エンディング 　

25.　 チュムチュヌン・サイボーグ