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リンダ・シャーロック / 『ALONE』

●狂気とさえいえるヴォーカル・パフォーマンスで知られるリンダ・シャーロックが、韓国伝統音楽との直截の交歓を通して、自らの存在そのものに迫った、決定的作品の登場。 ●アヴァンギャルドなヴォーカル表現者として日本では有名なリンダ・シャーロックだが、RED SUNでのサムルノリとの共演以来、演奏活動以外にもしばしば韓国を訪れ、仏教寺院で精神修養のときを過ごすほど、この国に浸っていたことということはあまり知られていない。本作は、彼女が10年以上かけて向き合ってきた韓国の風土や歴史伝統をどのように呑み込み、咀嚼し、摂取したか、その精華を、イ・グァンス、チ・スンジャという、現在の韓国を代表する音楽家たちとの即興=共演を通して端的に描き出した作品である。と同時に、情味豊かなジャズ・ヴォーカリストでもあり、女性であり、黒人アーティストであるというその姿そのものを、音楽的な極限状況下において再確認せずにはいられない、決定的な存在証明書としての重みも合わせもった音盤である。 ●1997年の秋に、韓国・ソウルで行なわれたセッションは、大別して、「伝統」に乗った上での韓国の器楽奏者たちとの完全な即興演奏と〈Over the Rainbow〉、〈Strange Fruit〉というスタンダードとくくるにはあまりに性格の異なる2曲、そして主にウォルフガング・プシュニクの企図によるモチーフ性を持った共同作業の3つの性格を持ったものから成っている。リンダの全き独白による01.≪Roala〉を含め、彼女はその場の、その瞬間の「空気」に応じて、詩を書き、さらに練り上げて録音に臨んだ。もっとも本番ではそのノート(詞・音)通りには歌われていなかっただろう。逆にいえば、それほどこの国の空気が、そこに生きる人間の作り出す音に敏感だともいえ、まさに彼女はそうした「気」の動きに全身で感応できるほどまでに、豊かな経験を重ねてきたわけである。 ●イ・グァンス、チ・スンジャは、それぞれ打楽器(チャンゴ、ケンガリ、チン、そしてvoiceも)と伽耶琴(カヤグム)で、その伝統世界を代表する音楽家( 両者ともSound Spaceからアルバムが出ている)であり、将来を嘱望されている2人のテーグム(横笛)奏者、クォン・ヨンミ、ミン・ヨンチら若手に劣らず、「即興」に対する柔軟性(と野心)に富んだ表現者でもある。ここでのインタープレイはもはや実験の段階ではなく、互いに多大に異質でありながら、ある種の暗号ともいえる音楽的交歓において、完全に共通言語を獲得した共演者同士であったとみることができよう。同時にその最終段階への階は、リンダの最大の協力者であり理解者であるウォルフガングによって踏み固められ、築き上げられてきたことが、全編を通して感得できるセッションともなっている。 ●これまで幾度かジャズ・スタンダードを歌う録音機会があったリンダだが、一度「AM 4...」(ECM)でも取り上げている05.〈Over the Rainbow〉での伸びやかさもさることながら、この時までレコーディングすることがなかった (ビリー・ホリディの歌唱によりあまりに有名な) 08.〈Strange fruit〉、しかもアルト・サックスとjing(チン:銅鑼)だけという破格の伴奏によっており、このトラックからはリンダ・シャーロックの音楽的な歩みが、というより存在そのものが、蕭然と、しかし確然たる重みをともなって浮かび上がってくるはずである。その存在感自体が、この国の空気に融けていく風韻さえも音響として記録しえた録音として、今世紀音楽の貴重な遺産となりうる作品である。          
  • Linda Sharrock
  • (vocal on all-tracks)

  • Wolfgang Puschunig
  • (alto sax on 2.4.5.6.8.9.10.)
  • Dhaser Yousses
  • (oud,voice on 2.)
  • Lee KangSoo
  • (janggo,voice on 2.,jing on 3.5.6.8., janggo on 4.7.9.)
  • Ji SoonJa
  • (gayageum on 4.)
  • Kwon Yongmi
  • (daegeum on 3.6.)
  • Min YoungChi
  • (daegeum on 3.6., jing on 9.)
    01.Roala2:08
    02.Horizon8:59
    03.Mystery to me6:21
    04.Last in Love4:08
    05.Over the Rainbow6:08
    - E.Y.Harburg/Harold Arlen
    06.Nocturne7:23
    07.Sing a song4:30
    08.Strange fruit6:55
    - Allen Lewis
    09.Forein love7:29
    10.Alone3:43
    Recorded at Seoul Studio , Korea October, 1997
    total : 58'11"

    Alonetext(; extracted) by Suzanna Oh
    (full text: Alone, At Last)

    Linda Sharrock had her first encounter with Korea in around 1987. She was accompanying her hasband while he was on tour in Europe with a group consisting of mailnly percussionists including a traditional Korea percussion ensemble. It was an encounter from a distance , since she wasn't actually working with the Korean musicians at the time, but there was friendship and deep mutual interet from the start.

    Linda used her voice like an instrument, which appealed to the Korean musicans at once. A singer meant they had to deal of words but Linda's type of vocal artisty was something they could simply respond to as if it were another instrument. 

    Koreans talk a lot about a concept called "han(恨)" especially when they talk about art. Han refers to pain, but not in a physical sence. It's more about loss or regret or hard times and it might be very similar to what we say in West when we talk about singing the blues. This album has han in it. It's a culmination of all the love and pain she's experienced as well as her ear and eye for Korea. 

    Linda Sharrock, 1997


    producer:
    :
    Sohn, Ah Sun (Sound Space) 
    Shimizu Ichiro(Sound Space)


    director:Miyakoshi Hiroki (Sound Space)
    recording engineer:Uetsuki Takashi (Delta Studio)
    mastering engineer:Ueda Keiko (Sunrise Studio)
    notes:Suzzana Oh
    notes in korean:Miyakoshi Hiroki (Sound Space)
    cover design:Lim JungYeun / BOW DESIGN
    photograph:Shimizu Ichiro (Sound Space)
    (p):2000
    STARMAX MUSIC


    商品コード : SMCD-001
    製造元 : STARMAX MUSIC (Sound Space/EumGongGan)
    価格 : 3,300円(税込)
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